主要FC格付け、吉野家がトリプルA――起業家情報センター、本部・店舗など評価。(日経MJ/井本剛司)

流通・サービス業のフランチャイズチェーン(FC)加盟希望者向けコンサルタント会社である起業家情報センター(東京・千代田、井本剛司社長)は、独自のFC格付けをまとめた。主要百チェーン(本部)を対象に、本部が提供する商品やサービスなどの「総合力」をAAAからEまで七段階に格付けした。転職、独立などでFCに注目する個人や多角化の手段として関心を持つ企業などの増加で、チェーン選定の参考情報のニーズが高まっていると判断した。


 格付けは約二年間かけてまとめた。五月中旬から一社ごとの詳細なデータを販売する。対象は小売業二十九本部、飲食業四十三本部、サービス業二十八本部の計百本部。公開資料や本部、加盟店、取引先への聞き取り調査をもとに作成した。年内には、対象本部を二百本部まで拡大する。格付けは今後、原則として年一回更新する。
 格付けの要素に(1)本部収益力(本部の売上高営業利益率など)(2)店舗力(加盟店一店舗当たりの売上高など店舗の競争力)(3)SV力(スーパーバイザーの来店回数など指導体制)(4)商品力(本部商品回転率など)(5)安全力(本部の自己資本比率など安定性)の五項目を設定。それぞれAからEまで五段階評価した。


 これらの評価を元に、総合的な格付けとしてAAA、AA、A、B、C、D、Eの七ランクを作った。AAAは「極めて優れている。加盟する際に受けられるサービスは最高水準」、Eは「本部の構造に重大な欠陥があり、加盟対象として現段階では不安材料が多い」など。同じ等級で優劣をきめ細かく反映するため「+」「-」を付けた。
 総合格付けの分布は、A以上が十五、Bが二十六、Cが二十六、Dが二十二、Eが十一。最上位のAAAは吉野家ディー・アンド・シーの「吉野家」だった。


 格付けは本部からの様々な商品供給や支援の継続性を重視。このため、「格付けの高低が加盟店の収益に直ちに比例するわけではない」(センターの井本社長)。例えば、現時点で来店客が多く売り上げが好調でも、「本部の基盤が弱く、商品供給力に問題があれば格付けは低くなる」(同)という。加盟店の業績がオーナーの力量により左右されやすいサービス業も全般に低い。 主なFC格付け(起業家情報センター調べ)