インタビュー 「格付けは成功を保証しない」 井本剛司 起業家情報センター社長(日経ビジネス)

 FCの格付けをしようと思った動機は、4~5年前からリストラされた中高年を中心にFCへの加盟者が急増したものの、各本部やチェーンの経営状況を客観的に比較できる情報がほとんどないために困っているという声を多く聞いたためだ。
 日本は世界第2位の「FC大国」でありながら、米国にあるような調査機関が存在しない。それならば自分たちでやってみようとなった。実際に格付け作業を始めてみると、情報開示を渋る本部が多く、業界の閉鎖性を改めて痛感させられた。その一方で、オーナーたちは横の情報交換を求めていることもわかった。
 格付けを見るうえで1つ注意してもらいたいのは、格付けが上のチェーンに加盟すれば必ず成功するとか、下だから失敗するということではないということだ。例えば、上場会社は財務を意識して経営しているので格付けが高くなり、逆に成長途上にある会社は利益を先行投資に回しているために格付けが低くなるといった傾向がある。若者に絶大な人気があるチェーンでも、まだ店舗数が少ないために格付けが下のケースもある。
 FCに加盟して保証されるのは「1つのサービスなり商品が安定して供給される」ことに過ぎない。あくまで、加盟する個人なり会社のモチベーション次第である。
 今後は、各付けの対象チェーンを300社まで増やしていくとともに、今回の100チェーンについても継続的にフォローし、随時格付けを更新していきたい。この格付けの変動が最も貴重な情報になるはずだ。