インタビュー/起業家情報センター・井本剛司社長「FC加盟店を支援」(日刊工業新聞)

起業家情報センター(東京都千代田区)が、フランチャイズチェーン(FC)加盟店支援サービスを拡充している。FC市場は企業のリストラ対策や起業志望者の開業手段として注目度が高く、市場規模は成長を続けているが、FC本部の説明をうのみにして安易に参入した結果、経営がうまくいかず本部とのトラブルに発展するケースも多い。こうした中、同社は99年にFC支援事業本部を設立、本部の実態調査請け負いを開始したのを皮切りにさまざまな加盟店向け支援サービスを提供している。井本剛司社長に事業の特徴や今後の戦略について聞いた。-FC市場の現状は。

 「市場規模は17兆円で毎年3000億-5000億円伸びている。FC本部数は日本フランチャイズチェーン協会発表で1000弱、当社把握で1500本部。店舗数は直営店を含めて約20万店舗近くある」

 -FC加盟店向け支援を始めるきっかけになったのは何ですか。

 「起業に関する相談を始めたところ、当初は財務や経理などの相談を予想していたが、ふたを開けてみるとFC本部とのトラブルに関する相談が多かった。売り上げ予測の相違、契約上のトラブルなどだ。こうしたトラブル回避のため、FC本部実態調査の請け負いを始めた。FCシステムは金さえ出せば成功するというものではない。きちんとした本部を選ぶ必要がある。ただ本部寄りの情報ばかりで客観的な情報は少ない。調査請負料は10万円。加盟に際して膨大な資金を投資することを考えれば安い」

 -具体的な事業展開についてはいかがですか。

 「調査請負は年間1000件の利用がある。また99年4月にはフランチャイズ店経営者協会(FOA)を設立した。加盟店同士はつながりがなく、悩みを相談する相手が少ない。また、こうした横のつながりを認めない本部も多い。そこで情報交換の場を提供する目的で設立した。会員数は5000人。年内には1万人にしたい」

 -昨年末には『FCコンサルティング・パッケージ』の販売を始めました。

 「加盟前から加盟後まで一貫して支援するもので、個人向けと法人向けがある。本部の財務内容、業績推移や加盟店の満足度などを調査したリポート提供、立地調査などのほか、契約時に弁護士を同席させるのが特徴。また青色申告などのアウトソーシングも行う。法人で赤字撤退した場合、料金は全額返済する」

 -今後の計画は。

 「4月に本部の格付け発表を始めるほか、本部と加盟店のトラブル仲介機関設立などを計画している」

 「当社はインキュベーション機能の強化に力を入れている。既に4社が独立、分社しており、FC支援事業本部もその一つ。(同事業を立ち上げた)現在のプロジェクトマネジャーが中心となり、いずれは分社化する予定」

 -最後にFC加盟の際に気をつけることは何ですか。

 「結婚と同じ。結婚を決めてから相手選びをする人は少ない。これと一緒で、まず起業ありきでなく、自分が何をやりたいのかを明確にすることが大事」