FC事業を支援――加盟開拓や融資、人材派遣(先端を行くベンチャービジネス)(日経産業新聞/起業家情報センター/井本剛司)

フラインチャイズチェーン(FC)事業の支援ビジネスにベンチャー企業が参入している。ファイナンスシステム付きの加盟開拓や、調査・格付けなど内容は様々だ。詳細なマニュアルや仕入れ体制の整ったFC本部は規模の大小を問わず積極的に加盟者開拓に取り組んでいる。一方で後継者がいない街の飲食店など、先行きに不安を抱える自営業者は多い。両者を結びつける支援ビジネスは活況だ。


業態転換を手伝う
 フューチャークリエイト(東京・文京、江藤鉄男社長)は、飲食店、美容院、百円ショップなど業態を問わず複数のFC本部と契約し、加盟者を開拓している。
 店頭公開企業のベンチャーリンクなど同様のビジネスを手がける企業はあるが、フューチャークリエイトの場合は新規参入を促すのではなく、業態転換を手伝うのが特徴だ。個人事業者にとって、自分の資産である店舗を再生させるのにFC加盟は有効な手段。店舗の立地条件に最適のFC本部を紹介する。
 「FC本部がしっかりしていても、サービス業は慣れない人には難しい。それだけに、事業経験者を活用できる利点は大きい」と江藤社長。中古店舗の流通にも応じるため、万が一、償却期間内に撤退する店舗が出ても、加盟者、リース会社のリスクが小さくなる。五年以内なら引き取り保証をしている。


加盟者が情報交換
 起業家情報センター(東京・千代田、井本剛司社長)のフランチャイズデータバンクは、FC事業の調査・格付けサービスを専門に手がける。今年七月に、FC本部と取引のある企業や加盟を検討している企業の情報交流の場となる会員組織を作った。
 最近はFC本部への投資を目的とするベンチャーキャピタルや、本業の不振から業態転換を考える中堅企業からの調査依頼などが増えているという。「FC本部の情報開示があいまいなためにトラブルになる例が多い」という。会員同士の情報交換の場を提供することで情報不足を補う。商店街や商工会議所など地域ぐるみでFCとかかわる例も増えているという。
 伊藤忠商事などが設立したFCを対象にした三億円の投資事業組合に参加しているのが、FCコンサルタントフランチャイズアドバンテージ(東京・渋谷、田島雅美社長)だ。


経営相談にも対応
 加盟時の融資などにとどまらず、経営上の相談にも対応する。必要に応じて人材派遣などの支援もできるのが、FC専門にコンサルタントを続けてきたフランチャイズアドバンテージの強みだ。
 「規模は小さくても、体制の整ったFC本部は有望な成長株」(起業家情報センター)。個人で事業を始めたい中高年層の増加などFC加盟への需要も拡大しているだけに、支援ベンチャーの活躍の場はさらに増えそうだ。