新事業・新商売~フランチャイズチェーンの 実態調査代行サービス(日経ベンチャー/起業家情報センター/井本剛司)

企業のリストラが相次ぐ中、フランチャイズチェーン(FC)への加盟希望者が後を絶たない。そんな加盟希望者に代わって、FC加盟店の経営実態を詳しく調査するサービスが注目を集めている。

 サービスを提供しているのは、起業家情報センター(東京都千代田区、井本剛司社長)。

従来、こうした調査は本部に対する聞き取り調査が中心だったが、同社の場合、加盟店に足を運んで調査するのが特徴だ。加盟店を無作為に五~七店選び、調査員が訪れ、「開業後、きちんと経営指導が行われているか」「売り上げは見込み通りか」といった点を聞き取る。

 もちろん、加盟店だけでなく、従来と同様、本部に対する調査も実施し、チェーン全体の出店計画や業績の見通しなどをチェックする。本部が調査に応じない場合、取引先など周辺から情報収集し、実態を把握する。

 両方の調査結果をまとめ、二〇ページ程度の報告書を作成する。調査費は一件当たり一〇万円。「加盟後に赤字経営に陥るのを防ぎたいという人は多いので、依頼者は順調に増加している」(井本社長)という。

起業家情報センター、メガフランチャイジー設立支援事業を展開(日刊工業新聞/井本剛司)

起業家情報センター(東京都千代田区平河町2の13の12、井本剛司社長)は、複数のフランチャイズチェーン(FC)加盟店を運営する「メガフランチャイジー」の設立を支援する事業の検討を始めた。ベンチャーキャピタル(VC)や銀行などがメガフランチャイジーの運営を目指すベンチャー企業(VB)に投資するのに併せて、同社がFC店開業を支援。一気にメガフランチャイジーとして経営を軌道にのせ、株式公開を早期に実現させる。VCなどにとっては、通常の収益リターンに加えてキャピタルゲインも期待できるという。

 起業家情報センターは起業支援やFC店開業支援を手がけている企業。検討中の構想は、VC・銀行・FC本部・商社などが出資する資金や遊休地と、同社のFC開業支援ノウハウを組み合わせることで、メガフランチャイジー会社を一気に設立しようという内容。同社は立地調査などの開業サポートを行い、FC本部にとっても、短期間に加盟店を拡大・展開できるメリットがある。人材などはFC本部から派遣してもらう予定。現在、実現に向けて複数の企業と交渉している。

 同社はFC本部の格付け評価なども手がけており客観的立場を保つ必要があることから、自らは出資や運営には直接携わらず、FCコンサルティングなどの収益拡大につなげていく方針だ。FC市場の規模は約17兆円で現在も拡大中。これに伴い、株式公開をするメガフランチャイジーも増えている。

特集~契約前のチェックポイント三〇(日経ベンチャー/起業家情報センター/井本剛司)

FCビジネスに挑む際に、最初の関門となるのは、玉石混交の中からいかに優良な本部を選ぶかだ。

本部の姿勢、事業モデル、費用負担、情報開示の姿勢などチェックする項目は山ほどある。

面倒だと考えず、あらゆる手段を使ってチェーンの真実の姿をつかむ努力が大切だ。

 中小企業がFCに加盟して新規事業に乗り出す場合、その成否は本部の選び方で大きく左右される。加盟にあたっては、本部や既存の加盟店を訪ねて情報収集しながら、本部の“真の姿”をあぶり出す必要がある。

 本部と加盟の交渉をする際に、押さえておくべきチェックポイントを次ページにまとめてみた。これを踏まえたうえで、良い本部と悪い本部の判別法を見ていこう。

 本部で話を聞く時、まず、確かめておくべきなのは、加盟店の運営指導に当たるスーパーバイザー(SV)の人数だ。一人のSVが担当する店舗数は、飲食と小売りでは一五店、サービスでは三〇店程度が標準的とされる。

 担当する店舗数が多すぎる場合、その本部の方針は、店を増やすことが優先で、加盟企業に対する指導を二の次にしている可能性が高い。

 「ある中古品リサイクル店は、FC展開を始めてからわずか二年ほどで二〇〇店を出した。だが、SVの育成が追いつかず、加盟店から不満が噴出するなど、急拡大の歪みが出ている」とある経営コンサルタントは話す。

 短期間に大量出店している本部では、加盟店を募集する店舗開発担当者の給料やボーナスが歩合制であることが多く、それが歪みを生じさせる温床になっている。

経営指導の内容を確認

 また、開発担当者とSVとの連携がとれているかどうかについても検証する必要がある。ほとんどの本部は、加盟企業の開拓は開発担当者、加盟後の指導はSVと“分業制”をとっているからだ。

 開発担当者は、加盟企業を増やしたいと焦るあまり、SVの経営指導の頻度や内容などについて、誇張して伝えることが少なくない。

 中古ゴルフ用品販売店ゴルフ・ドゥさいたま市、松田芳久社長)では、加盟希望者とFC契約を結ぶ前に、担当するSVを決め、開発担当者、加盟希望者の三者で話し合う機会を設けている。「開発担当者とSVの言うことに食い違いが生じないように、事前にSVの話も聞いてもらうようにしている」と松田社長は話す。

 加盟希望者にとって、契約前にSVと接触できるメリットは大きい。SVの能力があまり高くないと感じたら、本部に交代を要求できる。新しく担当に決まったSVにも満足できない時には、チェーンのレベルが低いと判断して加盟をとりやめるという選択肢もある。

 もちろん、加盟する前に一度会っただけで、SVの能力を見抜くのは簡単ではないが、少なくとも、事前にSVを加盟希望者に引き合わせる本部は、良心的だといえる。

 FC本部の実力を見抜くには、チェーンの事業モデルそのもののチェックも欠かせない。

 その際、必ず押さえておきたいのが、チェーン売上高、本部売上高の伸び率だ。前者については、既存店ベースの売上高についても数字を入手しておく。

 売上高が右肩上がりで伸びているように見えても、既存の店が売り上げを落としていれば、そのチェーンは勢いを失いつつあると判断できる。

 また、五店以上展開している加盟企業が何社あるかという点も、必ずチェックすべきポイントだ。企業として事業に取り組むなら、多店舗化できなければ、加盟する意味はないに等しい。すでに何社もある場合には、そのうちの一社を訪ねて話を聞いてみるのも有効だろう。

 店舗数の多いFCの場合、加盟してもすでに出店余地が残されていないケースもあり得る。本部によっては、加盟企業に出店地域をあらかじめ割り当てるエリア制を採用している。その場合には、当然残されているエリアをチェックしなければならない。

 二〇〇〇年にパソコンやAV機器のリサイクル店「ハードオフ」に加盟したマキヤ(静岡県沼津市)の矢部隆社長は、「加盟するまでに二度、断られた」と話す。本部はエリア制を採用しており、マキヤが出店を希望した地域に、すでに既存の加盟企業があったためだ。

 三度目のアプローチで、「本部が既存の加盟企業から承諾を取りつけてくれ、静岡県東部地域だけならという条件付きで加盟が認められた」(矢部社長)。マキヤは静岡県沼津市に一店目をオープン、ここでノウハウを身につけ、現在、三重県のエリアを本部から割り当ててもらい、合計五店を展開している。

 個人と違い、企業が加盟する場合には、出店地域にそれほど固執する必要がない。エリア制を採用している本部から加盟を断られた場合には、その理由を聞き出し、他に空いている地域はないか、必ず確かめる必要がある。

 米国など海外で実績のあるチェーンが、日本に上陸して加盟店を募集している場合、顧客対象や価格設定などをどのように変えていくつもりなのか聞いておくことも重要なポイントだ。

 例えば、本国では大衆向けの品ぞろえなのに、日本では「珍しい商品だから多少高くても大丈夫」と顧客対象を変えているような場合、最初は集客できたとしても、時間の経過とともに競争力を失っていく恐れがある。

 店舗の内装費や設備費などがどのくらいかかるのかについても、できるだけ細かい費用まできちんと把握しておく必要がある。

 その中で、見落としてしまいがちなのが、数年に一度必要なPOSシステムの更新費や、年末年始のキャンペーン費用など、一時的に発生する費用だ。

 これらの費用については、本部の説明を受けた後、既存の加盟店に足を運び、話に食い違いがないかを確かめておきたい。

本部の信頼度を示す情報開示

 マイナス情報をどれだけ開示するかを見ることも、信頼のおける本部を選ぶうえでは欠かせない。直営店と加盟店の閉店数、チェーンからの脱退者数などを包み隠さずに教えてくれれば合格だ。

 情報を聞き出すことができたら、閉店や脱退の理由を本部はどうとらえているのか、それを減らすためにどんな手を打ったのかについても質問し、経営不振に陥った加盟店にどんなフォローをする用意があるのか確認しておく。

 ここ数年、FCのトラブルが多発しているため、本部がどんな内容の訴訟を何件抱えているかも気になるところだ。

 この点については、本部が情報を開示しなければ、そのチェーンの加盟者が多い都市の地方裁判所に足を運び、原告と被告の名前から管轄内の訴訟を検索して、自らの手で訴訟の数や内容などを調査しておくべきだろう。

  米国では、FC本部は訴訟歴を公開することが義務づけられているので、米国から上陸したチェーンについては、本国の本部に問い合わせれば、裁判の件数や内容を教えてもらえるはずだ。

 現在、日本で訴訟を起こされている「サブウェイ」は、米国でも訴訟を抱えている。日本で裁判を起こした加盟者の中には、米国での評判を事前に調べていれば、加入を思いとどまったケースもあったはずだ。

 このような点について一通りの情報をつかんだ後は、必ず本部の経営者と直に会って話す機会を持つべきだ。

 経営者と会った時に一番大切なのは、事業に対する理念と目標に共感を覚えることができるか。とにかく拡大志向で日本一を目指しているのか、質を重視して緩やかな拡大で十分と考えているのか、経営者と話をしながら見極める。

 事業環境が刻々と変化する中では、硬直的な上意下達ではなく、イコールパートナーとして協力関係を築いている本部のほうが、対応力が優れているのは間違いない。本部が加盟店同士の交流を推進、歓迎しているか、あるいは、加盟店からの提案や意見を積極的に吸い上げているかといった点に注目すれば、いずれのタイプの本部かを見抜くことができる。

 契約書のチェックは言わずもがなだろう。基本的には、FC契約に詳しい弁護士に契約書の内容を一度確認してもらうべきだが、素人でもポイントさえ押さえておけばチェックできる。

 例えば、契約書の条文に「原則として」という表現が目立つ場合は要注意。「原則として既存店の周囲Xキロ以内に新規出店はしない」という項目の場合、本部は「例外として」は出店する可能性があると考えているということだ。契約としては何の意味もない。

 また、本部が加盟店に何をしてくれるのか、開店前研修の日数と内容、SVの来店頻度、開店後研修の回数などに関し、曖昧な記載しかない契約書にも注意がいる。

 当然、こうした内容を盛り込めば契約書の項目は多くなる。「日本の契約書は、三〇数項目のものが多いが、項目を六〇くらい設けて詳細に記述しているチェーンのほうがトラブルが発生する可能性は少ない」とFCビジネスに詳しい川越憲治弁護士は話す。

FC本部の多くは立派な加盟案内書を用意しているが、その内容を鵜呑みにせずに、自分で納得いくまで調査することが大切だ

大手コンビニチェーンのFC加盟契約書。項目の一つひとつをきちんとチェックしておくべき

毎年3月、東京で開かれている「フランチャイズ・ショー」には多くの本部が出展している。効率よく情報を集めるのに好都合だ

加盟前の調査徹底が成功率を高める

――起業家情報センター社長  井本剛司氏

  FCに加盟すれば必ず儲かる――これは甘い考えにすぎない。昨年、我々が実施したFC店経営者に対するアンケートによると、収支が黒字であるという答えは全体の五二%。収支均衡が一九%で、残り二九%は赤字に苦しんでいるという実態が明らかになった。

 詳しく分析すると、加盟したチェーン以外の本部を調べずに契約してしまった経営者が全体の四一%を占め、その場合、三〇%が赤字に陥っている。一方、複数のチェーンを検討した場合には赤字の比率は二六%と減少する。さらに、五チェーン以上を検討したうえで加盟するチェーンを決めた経営者は七%しかいないが、その赤字の比率は一六%にすぎない。

 企業としてFCに取り組む場合、複数の本部を検討して選ぶケースがほとんどのはずだから、三割が赤字ということはないだろうが、二割程度は苦しい経営を強いられているのではないかと推測される。

 とにかく肝に銘じなくてはならないのは、FCビジネスに失敗したくなければ、事前に多くのチェーンを比較検討して、その中から最良な本部を選ぶことがいかに大事かということだ。

 また、アンケートでは、開業前に期待した通りの業績があがっているかという質問もしてみた。それに対して、「期待以下」と答えた経営者が六七%もいた。

 その理由で一番多かったのが、「本部の売上予測が高すぎた」(二二%)というもの。本部の売上予測を鵜呑みにして、事業計画を立てたら、資金繰りに苦しむ危険性が高いことも判明した。既存の加盟店を訪ね、現実の売り上げを確認して、それをもとに資金繰りを考えておくべきだろう。

 「業界全体が縮小している」「本部が十分指導してくれない」という理由を挙げる経営者も多かったが、これらの点も、ある程度は契約前に調べることができる。そうした努力を怠った結果、期待通りの業績があがらなくても自業自得といえる。

■アンケートの概要

二〇〇〇年六月、三〇業種の一五六チェーンに加盟する三万店に「FC店経営者業況調査」を発送。有効回答数は一五三九。

ニュース&ダイジェスト 5~起業家情報センターが、個人向けに加え 法人向けのFC加盟・運営支援事業を開始(日経レストラン/起業家情報センター/井本剛司)

FC(フランチャイズチェーン)の調査、格付けなどを行っている起業家情報センター(東京都千代田区、井本剛司社長)は、個人のFC独立開業希望者を支援するコンサルティングパッケージと、法人・企業向けの支援制度を作り、このほどサービスを開始した。FC専門のコンサルティング事業は珍しい。

 個人向けのパッケージは4タイプ。内容は、加盟前の相談、FC本部の調査(加盟店オーナーの声を含む、調査する本部の数は金額による)、開業後の定期連絡やトラブル相談、同社が開催するセミナーの無料受講など。この基本タイプの料金が20万円で、これに資金調達のアドバイスや帳簿作成サービス、確定申告書の作成、経理に関するコンサルティングを付加したフルサービスのタイプが50万円となる。

 法人向けの支援制度もサービス内容はほぼ同様だが、立地診断を行うこと、加盟後2年以内に撤退することになった場合には料金を全額返済する点などが異なる。料金は200万円。

 また、これらの事業とは別に、FDB(フランチャイズデータバンク)情報会員の拡大を図り、法人会員の募集も行っている。これは、FCにかかわる企業(フランチャイジーや、取引のある食材メーカー・卸など)を対象に、情報交換の場を提供するもので、交流会の実施や会員同士の紹介、コンサルタントの無料派遣などを行う。

経営革新・新規開業支援セミナー、個別相談会(愛媛新聞/起業家情報センター/井本剛司)

11月14日午後1時半から、松山市南堀端町の東京第一ホテル松山で開く。第1部は企業家情報センター代表取締役の井本剛司氏の講演「躍進するフランチャイズ業界とFC加盟成功の条件」。第2部はテンポスバスターズ代表取締役の森下篤史氏の講演「時代の変化とビジネスチャンス~テンポスバスターズベンチャースピリッツ~」。参加無料。定員80人。

 セミナーに先立ち、午前10時から正午まで、同会場で個別相談会も開かれ、中小企業診断士経営コンサルタントら専門家が、資金調達方法や、経営計画の立て方、マーケティングなど具体的な相談に応じる。相談無料。申し込みは11月9日まで。

 申し込み、問い合わせは松山商工会議所内、松山中小企業支援センター

FC満足度ランキング、パレットプラザ1位、起業家情報センター、加盟店を訪問調査。(日経MJ/井本剛司)

経営コンサルティングなどを手掛ける起業家情報センター(東京・千代田、井本剛司社長)は、フランチャイズチェーン(FC)加盟店からの意見に基づいたFC本部に対する満足度ランキングをまとめた。FCに関しては、本部側が公開しているデータによる資料は公刊されているが、加盟店側からの評価に基づいた調査は初めてという。


 同社は、各業種のFC加盟店四千五百店舗のオーナーを会員化して訪問調査し、データをまとめた。ランキングは加盟店の業績や本部の方針、商品の信頼度など計十二項目を五段階で評価し、総合得点を算出する仕組みで、満点は六十点。このほかオーナーからのコメントも聞いた。

 総合ランキングで一位となったのは、プラザクリエイトが展開するDPE(写真の現像、焼き付け)チェーンの「フジカラーパレットプラザ」で、五十点を獲得した。出店時に競合店を避けた立地をリサーチしてくれることや、本部のクレーム対応の早さなどがオーナーから評価された。
 二位は、コンビニの「セブンイレブン」、三位はファストフードの「モスバーガー」。オーナーからは「商品がいい」といった評価を得ている半面、「FC本部の指示が強すぎる」(セブンイレブン)、「時代に応じた新しい対応を生み出さない」(モスバーガー)などの不満も出ている。
 四位は、花月食品(東京・杉並)の「にんにくげんこつラーメン花月」、五位はトモス(東京・新宿)が展開するラーメン店の「ちりめん亭」。「認知度が高い」(ラーメン花月)、「レイアウトに気を使い、女性客が多い」(ちりめん亭)などの点が評価を得た。
 FCを巡っては、加盟店と本部との間で開店後の売り上げや研修体制について期待と実態とのズレが生じ、トラブルに発展するケースもある。加盟店側からの生の声を取り入れたランキングを公表することで、トラブルを未然に防ぐ効果が期待できるとみられる。 

FC加盟店業況調査報告書、1539店にアンケート(日本食糧新聞/起業家情報センター/井本剛司)

(株)起業家情報センター(東京都千代田区)は、フランチャイズチェーン(FC)加盟店を対象にした「FC加盟店業況調査報告書」をまとめた。アンケート用紙を全国のFC店五万店に送付、10月1日現在の有効回答一五三九店のアンケート結果を分析したもの。同社は来春までに一万店を調査目標とし、引き続きアンケートの回収を続ける。(以下、同報告書抜粋)


◆成功オーナーと失敗オーナーの認識

グラフ2「売上げは開業前の期待と比べてどうか?」に対して、全体の六七%のオーナーが「期待より低い」とし、「期待通りかそれ以上」と答えたのは三一%であった。
「期待通りかそれ以上」と答えたオーナーにその要因を複数回答で挙げてもらった結果の上位三位は以下の通り(一人平均、三項目の回答)。
1、立地が良かった(二六%)
2、自身の努力の成果(二一%)
3、商品・店舗に魅力があった(一六%)
一方、「期待より低い」と答えたオーナーの要因の上位三位は以下の通り(一人平均二項目の回答)。
1、売上げ予測が高すぎた(二二%)
2、立地が悪かった(二〇%)
3、業界が縮小傾向・本部の指導が悪い(ともに一三%)
これらの結果からそれぞれわかることは、成功するために必要な事項は立地、自助努力、本部のノウハウとなるが、見込み通りの売上げが上げられないオーナーの意見として挙げられた要因の上位三位の中には、「自助努力」が入っていないことがわかる(「自身の能力・努力不足」は一一%で五位)。
これからいえることは、見込み通りの売上げを上げられないオーナーは、本部の所為、立地の所為、業界の所為を前面に掲げ、自身の努力不足に対する認識が低いことである。


◆脱サラオーナーの経営実態
当統計では、脱サラオーナーに焦点をあて経営実態についてアンケート結果を集積した。
「脱サラオーナーの経営状況」のデータをみていくと、収支均衡を含めた七〇%のオーナーが「経営継続可能」と答えている。経営者としての資質を問われがちな脱サラオーナーだが、全体的に健闘している。この背景にはFCシステムの向上と加盟店オーナーのレベルアップがうかがえる。
経営不能に陥っている脱サラオーナーも一二%に上り、FC加盟による独立開業だからといって、安易なFC選択は危険であるといえる。
「脱サラオーナーの経営実態」をみていくと、「期待したほどではない」が四一%と最も多い。この背景には、脱サラして初期投資をしたにもかかわらず、開業前に当初予想していたよりも、儲かっていないと感じているオーナーが多いことが挙げられる。脱サラオーナーの経営状況からわかるように、期待より上回っているのは、一一%であり、FC加盟に対して、過度の期待をしているといえる。
「脱サラオーナーの生活実態」をみていくと、一般的サラリーマンと同様に週二日以上の休日を安定的に確保できているオーナーは九%とごく一部にとどまっている。一方で休みの全く取れないオーナーは二六%にも上っている。これは人件費を圧縮するためにオーナー自身の労働力が不可欠であるという現状を示している。事業主として生じる責任範囲はサラリーマンと比べ大幅に拡大し、常に現場を管理していなければならない状況がうかがえる。
「黒字経営をしている脱サラオーナー」のうち、「まあまあ」を含めた六六%の過半数のオーナーが本部に対して一定の評価を与えている。「比較的レベルが低い」「非常にレベルが低い」と本部への評価が低いものが、四五%となり黒字経営をしていても必ずしもFC本部の評価をしているのではないということが読み取れる。FC本部の支援にばかり頼るのではなく、オーナーの自助努力が必要であるということがこの結果から言えよう。
「黒字経営の脱サラオーナーの本部への要望」としては、「商品開発」が五二%と最も割合が高かった。ここからと読み取れることは、黒字経営の脱サラオーナーが商品力を最重要項目として捕らえていることがわかる。これは裏を返せば、本部から供給される商品に対して、本部の役割と加盟店の役割をはっきり分担し、最も重要な商品開発に注力して欲しいとの意識があるものと思われる。
また、「販売指導」一七%、「経営指導」一二%となり、本部からの支援体制の強化を黒字経営の脱サラオーナーは求めている。
脱サラオーナーは、経験の少なさから失敗例も多いのではないかとの声もあったが、収支均衛を含めた七〇%のオーナーが「継続経営可能」と回答し一人の経営者として順調に経営している。この背景の大きな要因として、サラリーマン時代よりも休日が減っていることも見逃せない。休日を返上して働くことによって、利益を確保しているのである。FCシステムの向上という要因によって、経営がうまくいくという要素も挙げられるが、オーナーとしては、「商品開発」、SVのレベルの向上などを切望し、より一層FC本部のレベル向上が望まれる。


◆業種別にみるオーナーの実態と経営状況
当統計では、業種を小売業・飲食業・サービス業の三分野に分け、それぞれの分野でどのような傾向がみられるのかを表した。
FCの業界の中で一番黒字化しているのはどの業種であろうか。
「小売業」「飲食業」「サービス業」の『経営状況』をみてみると、以下のような結果になった。「かなり黒字」「弱冠黒字」「収支均衡」までを経営の継続が可能と判断すると、サービス業で八二%、飲食業で七一%、小売業で六四%を占めた。逆に赤字の割合は小売業三六%、飲食業二九%、サービス業一八%となった。小売業は、赤字の割合が最も多くサービス業の二倍の数値となった。
では次に、「小売業」「飲食業」「サービス業」の『オーナーの勤務時間』からみられる各業種ごとの休日の取得状況はどうであろうか。
小売業は「なし」が四一%と最大の割合を示す。全体と比較しても「なし」の場合は一一%ほど高い。小売業の勤務時間の長さが目立っている。飲食業においては、週休一日、なしが二九%と同率で一位、サービス業は週休一日が六〇%と過半数を占め、なしと答えたオーナーはわずか一%であった。
次に「小売業」「飲食業」「サービス業」で『一日の総労働時間』を聞いた。
小売業では一日八~一二時間未満の労働時間が六〇%と最も多く、以下一二時間以上二一%、五~八時間未満一六%と続く。飲食業でも八~一二時間未満が最も多く三八%、僅差で一二時間以上が三六%と続く。サービス業でも八~一二時間未満が六〇%と過半数を超える。続いて、五~八時間未満二二%、一二時間以上一〇%と続く。
総じて、サービス業が他業種に比べると休日も取れている結果となった。


◆開業年数別今後の経営発展に必要なもの
当統計は、「今後の経営発展にオーナーは何を必要としているか」を開業年数別に集計した結果である。
加盟店の各開業年数において一、二位を「商品力」または「資金力」が占めており、この二つについては共通の必須要素となっている。一方三位以下については違いが見られ、三年未満のオーナーは「経営者の知識」を重要視している。
三年以上のすべてのオーナーは三位と四位に「売るためのノウハウ」「従業員の管理」を挙げ、三年未満のオーナーと明確な違いがみられる。つまり経営発展に必要なものは開業年数を問わず、「商品力」「資金力」である。そして開業当初は「知識」を重要とし、その後実務上に必要である「売るためのノウハウ」「従業員の管理・確保など」が順位として上位になる傾向があることがわかった。